出版:株式会社ネオテクノロジー 出版年月:2022年5月
THzメタマテリアル – NEOレポート
ページ数 | 約150ページ |
税込価格 | 198,000円 |
税抜価格 | 180,000円 |
種別 | 日本語調査報告書(PDF版) |
ネオテクノロジー「THzメタマテリアル – NEOレポート」はテラヘルツ波領域におけるメタマテリアルに着目し、メタマテリアルに関する解説や関連特許情報を提供します。
当レポートは特許情報から創造の着想喚起に役立つ価値情報の提供を目的とした『NEOレポート』シリーズの一冊です。
【概要】
テラヘルツ(THz)波は可視光とマイクロ波に挟まれた周波数/波長領域の電磁波で、両者の性質を兼ね備えた未開拓の電磁波と呼ばれて久しい。非破壊検査などのセンシング応用では一部実用化も始まっているおり、Beyond 5Gの通信応用など、ここにきて実用化の機運が高まっています。
メタマテリアルは波長以下の微細構造により、負の屈折率などの自然界の材料が持ちえない物性を発現する人工材料で、1964年に着想され、2000年に初めて実現ざれた比較的新しい材料です。マイクロ波用小型アンテナなどで実用化が始まっています。
これからの応用分野であるTHzと、これからの材料であるメタマテリアルは、サイズと機能の面で相性がよく、例えば、THz帯を用いるBeyond 5GではTHz波の直進性を補完するためスマートサーフェスとも呼ばれるメタマテリアルが多用されるのではと言われ、材料からデバイスおよびシステムレベルで活発な研究開発が行われています。
本NEOレポートでは、THzもメタマテリアルもその概念を広く取り、今までにない材料物性、デバイス機能および機器システムの観点から注目ポイントをまとめました。
[ネオテクノロジー発表資料]
未開拓の電磁波:テラヘルツ波
テラヘルツ(THz)波は可視光とマイクロ波に挟まれた周波数/波長領域の電磁波で、両者の性質を兼ね備えた未開拓の電磁波と呼ばれて久しいです。非破壊検査などのセンシング応用では一部実用化も始まっており、Beyond 5Gの通信応用など、ここにきて実用化の機運が高まっています。
自然界にない物性を発現できる人工材料:メタマテリアル
メタマテリアルは波長以下の微細構造により、負の屈折率や大きな異方性などの自然界の材料が持ちえない物性を発現する人工材料で、1964年に着想され、2000年に初めて実現された比較的新しい材料です。マイクロ波用小型アンテナなどで実用化が始まったところでも注目されています。
これらの応用分野であるTHzと、これからの材料であるメタマテリアは、サイズと機能の面で相性が良く、例えば、THz帯を用いるBeyond 5GではTHz波の直進性を補完するためスマートサーフェスとも呼ばれるメタマテリアルが多用されるのではと言われ、材料からデバイスおよびシステムレベルで活発な研究開発が行われています。
THzメタマテリアルの注目ポイント
ここでは、THzとメタマテリアルの概念を広くとり、今までにない材料物性、デバイス機能および機器システムの観点から見た注目ポイントを実例を用いてご紹介します!
ポイント1 メタマテリアルが発現する新しい材料物性
ポイント2 メタマテリアルが実現する新しいデバイス機能
ポイント3 メタマテリアルが構築する新しいTHz応用システム
ポイント1
▶メタマテリアルが発現する新しい材料物性
電磁波の波長より十分小さな人工構造物(エレメント)の集合で構成されるメタマテリアルは、負の屈折率や大きな異方性などの自然界にない物性を発現できます。伸縮自在のシートや自己組織化を利用した3次元構造など、材料や製造法の自由度も高まります。結晶中の格子振動など電磁波以外の波への適用も検討されています。
「特異な電磁波伝送媒体:円偏光による透過率制」
電磁波の導波路をメタマテリアルで囲むことで漏洩を抑制した理想的な伝送路を形成することが可能な技術です。伝送路の途中にメタマテリアルを挿入することで、特定帯域の電磁波のみを通すフィルタを実現することができます。また、メタマテリアルを構成するエレメントの形状や寸法で通過帯域を変えることができ、複屈折や異方性を持たせることも可能となります。
上記の例(US20210348969、ARIZONA STATE UNIVERSITY、Fig. 2A)は、鏡像を自身と重ね合わすことができないキラル型の立体的構造物をエレメントとしたメタマテリアルによる円偏光した電磁波を制御する技術です。対象とする電磁波は近赤外からテラヘルツ波です。右円偏光と左円偏光は共にキラルな偏光で互いに鏡像関係にあります。平行なナノグレーティングのメタサーフェスと、その上部に45度斜め方向に配向したプラズモニックアンテナ(メタサーフェス)から構成され、右円偏光の電磁波を入射すると、透過し、直線偏光に変えることができます。左偏光の入射は遮断される。上下のメタサーフェス間で多重の透過/反射が発生し、位相が変化するため、このような特性が現れます。
ポイント2
▶メタマテリアが実現する新しいデバイス機能
トランジスタなどの電子・光デバイスと複合させるとメタマテリアルの特性、例えば反射方向や透過帯域をダイナミックに変えることができます。電子・光デバイスでメタマテリアルの構造を再構成できるリコンフィギュアブル・メタマテリアルです。また、メタマテリアルで電子・光デバイスの特性を強化、例えば、センサの検出感度や信号源の効率を大きくすることもできます。
電磁波の発生デバイス(光源)や検出デバイスと組み合わせて、効率や感度を上げる応用も検討されています。液晶と組み合わせたカラー表示装置、電子デバイスの再構成可能な電磁シールドといった応用なども検討されており、今後様々な機能を実現するダイナミックなメタマテリアルが出てくるものと考えられています。
ポイント3
▶メタマテリアが構築する新しいTHz応用システム
直進性が強く障害物のために通信できなくなるテラヘルツ波の「陰」のエリアを、反射方向をダイナミックに変えられるスマートサーフェスがカバーする新しい無線通信システムが、Beyond 5Gの有力候補となっています。テラヘルツ波を用いたセンシング/イメージングシステムや無線発電/給電における活躍も期待されています。
「スマートサーフェスを利用した無線通信システム」
メタマテリアルはBeyond 5Gを実現する上での不可欠な技術要素として注目されています。Beyond 5Gで利用される100GHz以上のテラヘルツ波は直進性が高く、途中にビルや樹木などの障害物があると基地局からの電波が端末まで届かない懸念があります。多数の基地局でなく、ダイナミックに方向を変えることができる反射板があれば、システムを経済的に構築することが可能となるとされています。
上記の例(US20190165850(METAWAVE), Fig. 1)は、その一例です。基地局からの電波をメタサーフェス(MRM)で方向を変えて端末に届けることができるシステムで、端末の移動に合わせて反射方向をダイナミックに変えます。スマートサーフェスあるいはリコンフィギュアブル・インテリジェント・サーフェス(RIS)と呼ばれ、多くの機関で研究開発が行われています。この例では、導電エリアとそれを囲むループを可変リアクタンス素子で接続したエレメントを2次元アレイにした構造で実現しています。スマートサーフェスをメタマテリアルとCMOSやHEMT、グラフェンスイッチの組合せで実現する方法も提案されています。また、メタマテリアルはアンテナのビームフォーミング機能をコンパクトに実現できる特徴もあります。
目次
目次/技術分類
・本書の特徴
・調査概要
・特許検索式
II. 技術テーマの注目ポイント
- メタマテリアルが発現する新しい材料物性
- メタマテリアルが実現する新しいデバイス機能
- メタマテリアルが構築する新しいTHz応用システム
III. 注目発明(50件:全100ページ)
・技術分類別(見開きページ)
・各ページ:タイトル、要点解説、代表図、特許請求の範囲、書誌事項